この機能を使用するには、 クッキーの設定 を更新してください。
「全て許可」 をクリックするか、 「ターゲットクッキー」 を有効にしてください。
継続することで、あなたのデータがどのように使用され、また保護されるかについて明記したAvaazの プライバシーポリシー に同意していただくことになります。
了解
当サイトをもっとも良い形でご利用いただけるよう、わたしたちはクッキーを利用し、当サイトがどのように使用されているかを分析します。 クッキーポリシー はこちらからご覧いただけます。
OK

レポート:
差し迫る 偽情報の脅威 から
どう 身を守るべきか

今年1月に就任したブラジルのボルソナロ大統領と比べれば、トランプ大統領など、まだマシかもしれません。ボルソナロ大統領は独裁者たちを賛辞した上、同性愛の子どもは袋叩きにすべきだと発言、さらにはアマゾン熱帯雨林での森林伐採を進めようとしているのです。

トランプ大統領と同様、ボルソナロ氏も選挙前の世論調査では当選の見込みゼロ。にもかかわらず、この番狂わせを可能にした秘密兵器とは何だと思いますか?

それは偽情報です。

ボルソナロ大統領の支持者らは、ソーシャルメディアのフェイクアカウントからネットデマを大量に流すことで、世論に混乱をもたらした上、人々に不信感を植え付けたのです。これは効果抜群でした! ボルソナロ大統領に投票した人の大半が、「対立候補は小児性愛者である」といったデマを信じていたことが、 世論調査で明らかになったのです。

しかもこれはブラジルに限った問題ではありません。 世界中のどこであれ、またいかなる政治信念をもっていようと、わたしたちは皆、偽情報と無関係ではいられないのです。 これは現代の民主主義に突きつけられた、もっとも深刻な脅威です。そして偽情報を食い止めるには、その脅威についてよく理解しないといけません。
lightbulb

偽情報について知っておくべき5つのこと

1. それは人々の不安に便乗、瞬く間に広がる。
そもそも人は物事を学ぶ上で、良いことより悪いことを優先して記憶する性質をもっているそうです。このことを踏まえ、ネットデマ発信者たちは人々の感情を巧みに利用し、ソーシャルメディアでシェアさせるよう仕向けているのです。こうして、フェイクニュースは正しいニュースと比べ、最速6倍のスピードで拡散されることになるのです! 

2. それはソーシャルメディアで増殖、数十億人が目にする。 
ソーシャルメディアにかける時間は長ければ長いほど、これらSNSを運営するネット企業の利益アップにつながります。ショッキングな画像や過激なコンテンツの方が注目度が高いため、ネット企業は自社サイトにこうしたコンテンツを表示するよう設定します。こうして、数十億人が目にするコンテンツが出来上がるのです。1日あたり大手新聞社が数百万部を販売するのに対し、Facebookのニュースは1日で10億人以上に伝わります。

3. それは兵器として利用される。
ブラジルから中国に至るまで、権威主義的な指導者たちは、長年にわたる分割統治に「偽情報」という最新兵器を取り入れています。けれど中でもひときわ目立つのはロシアです。ロシアの巨大な「トロール(ネットの荒らし)工場」は多数の人員を雇用、数千万ものフェイクアカウントを作らせた上、偽情報を大量拡散しました。ロシアのプロパガンダメディアといわれる「RT」のYouTubeチャンネルの視聴回数はおよそ20億万回、同サイト内で最高視聴率を稼ぐニュースチャンネルのひとつとなったのです! 

4. それは暴力を煽り、民主主義を損なう。
インドやブラジルでは、ネットデマを信じ込んだ民衆が暴徒化し、殺人に発展する事件が起きています。またミャンマーでは、偽情報をきっかけに「民族浄化」を煽る残忍な暴力が拡大しました。その影響は、政治にも有害な影響をもたらしています。ボルソナロ大統領, and トランプ大統領の当選もブレグジット(英国のEU離脱)も、フェイクニュースがその追い風となったのです。さらに偽情報は、EUをはじめとした民主主義を尊重する機関や政治家、また主流メディアへの信頼を失墜させ、反体制的でワンマン的な指導者の台頭を許す土台を提供しているのです。偽情報のせいで、ソーシャルメディアはもはや民主主義にとっての脅威となってしまいました。 

5. それはわたしたち全員の問題。 
人々を分断し社会に亀裂を生み出すことをもくろむ、こうした戦略の標的となっているのは、わたしたち全員です。政治的立場にかかわらず、一人の例外もありません。例えば米国では、黒人への暴力に抗議する「ブラック・ライブズ・マター」の公式ページよりも、ロシアのトロール団が作り上げた、黒人の権利擁護を装った偽のページの方が、より多くのフォロワーを集めていたのです。「自分はフェイクになんか引っかからない」つもりでも、教養ある人もフェイクニュースを信じ、また65歳以上の人々はこれらをより拡散する傾向にあることが、調査によって明らかになりました。

ネットデマやフェイクニュースによってウソの情報が広がると、人々は不信感や恐怖心を抱くようになります。けれど偽情報について理解を深めれば、これを食い止めるための対策が見えてきます。偽情報をまとめたこのページを周囲の方々に共有し、その脅威について一緒に理解を深めましょう。さらに偽情報から身を守るための対策を下記に記載したので、こちらもぜひご覧ください!
shield

偽情報から身を守るための5つの提案

1. 怪しい情報を目にしたら、報告を!
まずはインターネット上で目にするもの全てを鵜呑みにしないようにしましょう。選挙の候補者に関する、情報源のわからないショッキングな情報がFacebookに投稿されていたら、すぐに信じてはいけません!信頼できる情報源にて事実を確かめた上で、「デマかもしれない」と思ったら、ぜひサイト運営会社やファクトチェック機関などにご報告ください。

2. しっかりとしたジャーナリズムを応援する。
ネット上の正体不明の人物よりも、倫理規範を守って運営する既存の従来メディアの方がはるかに信頼できます。主流メディアに欠陥がないわけではありませんが、事実関係の調査はしていますし、何かあった場合、その責任を問うことも可能です。ジャーナリズムがしっかりとした、質の高い新聞を購読することも、今わたしたち市民にできる、もっとも有効な対策のひとつです。

3.  ソーシャルメディアに対策を促すキャンペーンに参加する。
Avaazは、ソーシャルメディアに蔓延する偽情報への対策をテック大手に求める、シンプルかつ効果的な計画を策定しました。フェイクニュースが表示されたユーザー全員に対し、独立機関による事実確認をもとにした訂正記事を配信させるのです。この対策を求めるキャンペーンに、ぜひご参加ください。 

4. 民主主義をあきらめない!
ネット上の荒らし(トロール)の目的は、不信感を増幅し、人々が民主主義に背を向けるよう仕向けることです。それによって、狂信的な過激派が勢力を拡大できるからです。わたしたちは選挙に投票した上、家族や友人たちにも投票を促し、また選出された議員にはその責任を果たすよう働きかけていく必要があります。

5. 人間への希望を決して失わない。
ネットデマや偽情報は不安につけこみ、誰にでもある負の感情に訴えかけることで、人々を怒り、あるいは諦め混じりの無関心へと駆り立てるのです。けれどもし、異なる考えの人々に思いやりをもって耳を傾け、一緒に考えることをあきらめずに議論をすることができれば、お互いの違いを乗り越え、つながり合うことができるはずです。不安による思い込みよりもずっと、わたしたちはお互いの共通点を見つけられる。そう信じて行動すれば、きっと素晴らしい社会を築いていけるはずです。

民主主義から人権に至るまで、あらゆる点において、現代社会は人類史上もっともうまくいっているといっても過言ではありません。あともう少しで世界中のすべての子どもたちが学校に通えるようになり、さらにあと1世代で貧困撲滅を達成できるところまできているのです。民主主義という土台のもと、素晴らしいジャーナリスト、責任ある政治家、そして多数の市民たちが協調してきたからこそ、今日ここに至ることができたのです。けれど偽情報を拡散させようとする力は強力で、これら全てを台無しにする脅威となっています。希望を失えば、勝利をさらわれてしまいます。そうさせないため、皆で力を合わせましょう!
PS: 恐ろしい結果を招いた偽情報の実例3件を、下記に掲載しました。

1. 偽情報は、大量虐殺を煽るため利用される 

Rohingya Fake News

ミャンマーの少数民族ロヒンギャ族をめぐる、憎悪に満ちたウソの情報がネット上で拡散されました。「ロヒンギャ族は人肉を食べる」という虚偽投稿(上記画像もそのひとつ)は、軍や反イスラム教団体が民族浄化を正当化するため利用されるようになりました。多数のロヒンギャ族の人々が政府軍によって虐殺され、女性たちはレイプされ、家々は焼き払われました。ついには国連が「ジェノサイド(大量虐殺)」であると公式に宣言する事態に至ったのです。

2. フェイクニュースは、移民をはじめとした集団全体を攻撃するため利用される 

Italian Immigrants Fake News

移民がパトカーを破壊するこの動画は、およそ1000万人が視聴しました。問題は、これが実は映画の一コマで、何年も前に偽情報であることが証明された動画だったことです!それでもなお、イタリアをはじめとした欧州各国の極右グループはこの動画を拡散し続けました。つい数週間前にもシェアされています。動画の拡散に対しFacebookは対策を取らず、その間にも移民の人々への疑いの目、敵意、憎悪はますます高まりました。

3. 偽情報は、恐怖心と怒りの感情をかき立てるため利用される 

France Lanvin Fake News

フランスでは、俳優のジェラール・ランヴァン氏による、マクロン政権を批判するメッセージが25万回以上もシェアされました。ところがこれもフェイクであることが判明、ランヴァン氏本人がなりすまし被害にあったと申し出たのです。これは、政府への不信感を植え付けるために偽情報が利用された実例であり、偽情報が民主主義にとって大きな脅威であることを示しています。

友達に伝えよう!