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国立天文台 林正彦 台長: 神聖なマウナケア山を守る為、TMT(30メートル天文台)建設への投資を早急に取りやめる。

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国立天文台 林正彦 台長
1) 聖地としてのマウナケア山 。ハワイ先住民の創造起源説によれば、天空の男神ワケアと、大地の女神パパハナウモクとの結びあいによって生まれた最初の『子供』と信じられています。したがってハワイ先住民にとって、マウナケア山は、雪の女神のポリアフと三姉妹の女神と他の神々が宿る領域であり、司祭による儀式や式典以外の活動は、歴史的に禁じられています。

2) 生態系と絶滅危惧種の保護地区 。マウナケア山には、比類のない生態系と絶滅寸前の植物や昆虫などが息づいており、連邦法と州法によって「保護地区」に指定されています。マウナケアの山頂には氷河の層があり、氷河が溶けた水と湧き水が山の内部にある太平洋で最大規模の帯水層を通して、川と海に流れており、人間と他の生き物にとって欠かすことのできない真水の源となっています。TMT自身の環境査定も、マウナケア山の30年にわたる天文台開発により、文化的、考古学的、歴史的な資源に「とても重要な破壊的」影響を与えていると結論づけ、TMTの建設によって状況がさらに惡化するということを認めています。すでに既存の望遠鏡からの7回にもわたる水銀漏れを含む、様々な環境への影響が報告されています。「保護地区」に指定されているマウナケアに、地上18階、地下2階の建物で9エーカー(3万6千421平方メートル)に及ぶ大規模なTMT建設が、マウナケア固有の繊細で脆い生態系と絶滅危惧種に、壊滅破壊的影響を与える高い可能性に対する懸念が日増しに高まっています。

3) 国際法的問題 。1893年の「公安委員会」とアメリカ合衆国によるリリウオカラニ女王の王国政府の転覆によって、マウナケア山を含むハワイ王国政府と王室の所有地とが、ハワイ共和国、アメリカ合衆国領土政府、そしてハワイ州政府に「割譲地」の名目で引き継がれています。しかし、国際法違反の政府転覆、合衆国による合併条約の不在、そして王国政府と王室の土地所有権の移転登記の不在に基づいて、ハワイ王国の統治権と土地の所有権に関する争議が、ハワイ先住民とハワイ王国の代表者によって、国際常設仲裁裁判所(ハーグ)、国際犯罪検察所、国連先住民作業部会、合衆国国務省を係って展開されています。マウナケア山を含むハワイ王国政府と王室の所有地の賃貸と開発は、ハワイ王国政府の統治権と土地所有権の問題の解決をされに困難にすると考えられます。

4) 国内法的問題 。1968年に、ハワイ州政府は、マウナケア山の賃貸権をハワイ大学に委譲し、一つの望遠鏡の建設を許可されました。それ以来、13もの望遠鏡が建設されています。「保護地区」に基づく使用許可、並びにTMTの建設許可に対する控訴審が、現在ハワイ州の最高裁判所で今行われているにもかかわらず、ハワイ大学とTMTの会社(Telescope International Observatory) はTMTの建設を強制的に進めています。

日本と、ハワイ先住民並びにハワイ王国とは、歴史的に密接な関係があります。ハワイ王国が1871年に日本と結んだ修好通商条約の中に、このように記されています。「ハワイ諸島の国王と日本帝国の天皇、その継承者とそれぞれの臣民の間には恒久的な平和と友好関係が築かれるものとする。」この条約締結の際、カラカウア王は、史上初の外国の国家元首として、当時の天皇であった睦仁様(明治天皇)と謁見しました。ハワイ先住民の文化復興と、ハワイ王国の統治権返還がグローバルな舞台で展開されている現在、私たちは、ハワイ先住民の聖地マウナケア山の保護運動を支援することで、より平和で公明な未来をもたらすと信じています。


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